日米のイージス艦はどちらが優るか?◆海上自衛隊の護衛艦チームは何故強い?

◆◆◆日米のイージス艦はどちらが優るか?◆◆◆
◆◆海上自衛隊の護衛艦チームは何故強い?◆◆

 

 

私は海自においては護衛艦や護衛隊群、艦隊司令部の乗組み幹部、艦長、作戦幕僚等の勤務が約20年と恵まれた勤務であり、 毎年機会のある米国派遣訓練には8回参加、2年ごとに開催されるRIMPAC(Rim of the Pacific):環太平洋共同訓練には4回参加した。

米国派遣訓練や国内での米海軍との共同訓練はもとより、我が国に親善訪問した英・加・豪・仏・露・韓・チリ等の海軍と個別に親善訓練を行い、 また操艦技量や戦術技量を把握できる各種のイベントを行った経験を有しているが、 自信と確信を持って言えることは、海上自衛隊の部隊ほど一種独特の強くて柔軟性のあるチーム力を発揮できる海軍を見たことはない。

海自のチームはまるで城壁の石垣のようであり、石垣を構成する石であるチーム員は 石と石の間の隙間をチーム員がお互いに補完しながら見事に埋めて強固な石垣を形成してくれる。 そしてその石垣は指揮官の任務や目的に応じて柔軟に形を変えてくれる。

5インチ

海自現役時代、艦の能力は艦長の能力を超えることはない。と良く指導された。

会社に言い換えれば、会社の能力は経営者の能力を超えることはない。ということである。

まさにその通りであり、石垣全体の広さは艦長や企業経営者の能力そのものであり、海自や日本の社員のように人材が優秀で協調性を有する場合は、 艦長や企業経営者の能力の広さに応じて、チーム員個々の石が大きく、或いは小さくなり、隙間を見事に埋めてくれる。

このようなチームは、いかなる業務に対しても柔軟かつ完璧に応えてくれる。 これは日本人の価値観、精神文化による人間関係によって達成されるものであり、 理想的な組織であると思う。また、強くて柔軟なこの組織こそがグローバル化の将来に生き残る組織であると確信する。

日本独特の和と勤勉の精神に基づいた終身雇用制度、集団主義から能力主義、個人主義の社会へと変わりつつある現代日本、 このグローバル化という波、うねりに乗るのが良いのか、 それとも日本人独特の和と共栄の力を活かした強固なチームワークを維持しチームの力を最大限に発揮する従来の日本型組織が強いのか、

私は日本人には能力主義、個人主義は適合しないと思っている。 戦後の驚異的な復興も世界に類をみない和と共栄を尊ぶ 日本民族のチーム力の強さのなせる技であったと信じている。

明治維新後、短期間に世界のトップレベルに成長した日本海軍の精神、伝統はそのまま海上自衛隊に継承されている。

すなわち、海上自衛隊は個人主義の西欧化に流されることなく日本人の持つ一種独特の価値観、精神を継承し、 世界最強のチーム力を維持しているといえる。

 

@ マニュアルに対する民族性の相違  

  ある講演セミナーでの一コマです。  

筆者:「海自と米海軍のイージス艦は米海軍のイージス艦が保有するトマホークミサイルや衛星を 使用した全世界指揮システムネットワークを除けばほぼ同等の能力です。 その様なほぼ同等の能力の日米のイージス艦がミサイル射撃や各種の作戦訓練で技を競い合うことがあります。 本番になると何故かシステムのトラブルや故障が良く起きます。

このようなトラブル発生の場合、海上自衛隊のイージス艦と米海軍のイージス艦は どちらが応急処置による任務の達成という点で優ると思いますか?」

聴講者:数名が「海上自衛隊!」、1人が『米海軍』と答える。

筆者:「色々な状況がありますが、私の多くの実戦的な共同訓練の経験から言えば、 海上自衛隊の方が優ると思います。実際に訓練では海自のイージス艦の方が戦果を上げます。 どうしてだと思いますか?」

聴講者の1人:「海上自衛隊の方が米海軍より個人の能力が高いから」

筆者:「個人の能力については海上自衛隊の方が高いとは一概に言えません。 米海軍には将校、兵員ともに素晴らしい能力と経験を持った軍人が多数おり、 プロアクティブという観点からは米海軍の方が上だと思います。」

聴講者の1人:「海上自衛隊の方が米海軍よりチームワークがいいから?」

筆者:「チームワークは日米ともに優れており、優劣はつけられないと思います。」

聴講者:沈黙

筆者:「日米イージス艦ともに同じマニュアルを使用しており、 チームがそれぞれの役割を果たして一つのオペレーションを行うチームワークには変わりはありませんが、 チームとして発揮される総合力という点において海上自衛隊のチームは卓越しています。」

ここまで話したところで聴講者の目は輝き、興味津々という雰囲気となった。

私はイージス艦を含む護衛隊の隊司令として米海軍のイージス艦主体の艦隊と共同訓練を数多く実施した。   また日本がイージス艦を導入する前の米国派遣訓練において米海軍のイージス艦に約1か月乗艦し研修した経験もあり、当時の米海軍のイージス艦のシステム、ドクトリン等は概ね把握していた。

米海軍と海上自衛隊の連携は強固であり、 また強固な日米同盟に基づき、米海軍は海上自衛隊にほぼ最新鋭のイージスシステムを提供している。米海軍と同等のシステム能力のイージス艦を有しているのは海上自衛隊だけである。 日米のイージス艦が弾道ミサイル防衛訓練としてSM-3ミサイルを使用した弾道ミサイル迎撃訓練をしたとしよう。 日米のイージス艦は同様のマニュアルに従い、同様の射撃を実施し、同様の成果が得られる。 ところが、本番になると色々なトラブルが起こるのは世の常である。

トラブルが起ころうが状況が急変しようがチームとして臨機応変の処置をして任務を完遂する力が真のチーム力である。

例えばイージス艦のオペレーションを10人のコンソルオペレーターで実施するとしよう。

海上自衛隊のチームは1つのコンソルが故障した場合や1人のオペレーターが負傷して戦列から離脱した場合でも他のオペレーターがカバーできる。 同じマニュアルを使用しても、自分の役割を100%果たすには他のオペレーターの仕事を理解しなければ チームの一員として全幅の貢献は出来ないと言う考えが日本人的考え方である。

いわばチームがあって自分があるという考え方である。

他方、欧米の考え方は、マニュアルに従いそれぞれのオペレーターは 自分の役割を果たすことでそれぞれの役割は完結するものであり、 個人主義的なチームの1人1人が存在することによってチームが成り立つという考え方でもあると言える。

別な言い方をすれば、日本は性善説に基づく集団主義であり、 欧米は性悪説に基づく個人主義という考え方にまでたどり着いてしまう。

日本社会にもマニュアル化、標準化の波が押し寄せているが、 これらは個人のそれぞれの役割を統合して一つの任務を達成するための方策であり、 その役割をある程度の教育訓練を施せばだれでも普遍的に配置できる方策に過ぎない。

日本人の和と絆の強さは世界に類を見ず、組織が、チームが一つの目標に向かって一体となれば、 どのような大波にも翻弄されることなく、軍艦が大きな波を切って進むような爆発的な総合力を発揮することを 私は幾度となく経験した。  軍艦は針路、速力の選定、熟練な操舵等、チームが一体となれば、大きな波に対しても翻弄されることなく、 波を大きくかぶりながらもずしりと安定した航行ができる。この様を「波を切る」と表現する。   組織が使用可能な人・物・金の全資源を活用し組織全体が1つの目標に向かえば、 まさに軍艦が波を切って進むような不動の爆発的な力を発揮できる。

 

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