日々殺伐とした通勤電車の中で寸暇を惜しんで読書をしている。最近忘れかけていた本を読む楽しさと充実感を取り戻している。人間は一生死ぬまで勉強の連続とは良く言ったもので読書は様々なことを教え、気付かせて人間の成長本能を満たしてくれる。
私は海上自衛隊を定年退職後、IT企業及び医療法人に勤務し組織創りと社員教育に従事している関係で、若者の気持ちに少しでも近づこうと自分が20代から30代の頃に何を考え、何を価値基準にして行動していたかを振り返るため若い時代のノートや書籍を埃を被った箱から取り出した。
クラウゼビッツ、リデルハート、マハン、ボーフル等の戦略論からホーンブロワー、水滸伝まで多種多様で
あったが、その中にアドビン・トフラーの「第三の波」がありました。トフラー氏は米国防大学の教授で米海軍士官の必読書であり、私も半ば義務的に読んだ記憶がよみがえった。
今回「第三の波」を読み返している途中、バットで頭を殴られるような衝撃を覚えました。当時は第二の波(産業社会)から第三の波(情報社会)への変化をコンピューターの発展、科学技術の発展という観点ぐらいでしか捉えていなかった自分の浅はかさを痛く後悔した。
第三の波は情報化に伴う社会構造、人間の価値観、経済活動の仕組みまで現代の様相まさにそのものへの変化を正確に予測しています。第二の波(産業社会)から第三の波(情報社会)への変化を環境の変化とパラダイムチェンジという観点から見ると、大量生産、大量消費の世界から知識社会、知的創造の世界へ、製造業型組織からサービスタイプ組織へ、ピラミッド型標準化、オペレーション指向からフラット型マーケット指向へ、年功序列型報酬制度から能力主義へ、人事考課も減点主義から成果主義へ、求められる人材も組織への忠誠心が強く会社に自分の人生を託す人材から自分で自分の人生の責任が取れる強い個人、自分で自分の動機づけを図り自己成長していく人材へと変わると予測しています。
時あたかもトフラーの「第三の波」の発表から四半世紀、パスカルは「職業の選択は自由であり、しかも偶然がそれを左右する。」と言いましたが、この様な組織、人間に巡り逢い、自己啓発でき、社会に貢献できる自分に喜びをかみしめたい。潜在的な問題も含め様々な問題を解決していくためには、身体にしみ込んだ高度なスキルは勿論のこと、国際的に通用するビジネスマナー、柔軟な思考、多角的かつ論理的な物の見方等の能力を日本の特に若者が向上させなければならないと思う。これらは自己啓発によって達成できるものであり、その意識及び努力と成果を実感できる読書を大いに勧めたいと思います。