ヨーソローの精神とは・・・
「ヨーソロー」とは操艦(船)号令の用語であり、波や風、潮の流れのある海の上を進路を正確に維持して(定針するという。)、真っ直ぐ進ませるための号令詞(指示)であり、その状態をいう。
この言葉には、日本の船乗り精神(シーマンシップ)が込められており、船乗りは 左右にフラフラすることなく、信念を持ち、目標に向かって一所懸命に邁進せよという教えを込めた海軍精神であり、旧海軍から海上自衛隊に脈々と引き継がれている。
ヨーソローの語源は・・・・
ヨーソローの語源には幾つかの説がある。代表的な説を紹介すると、
@ 幕末に蒸気船の操船術が日本に入ってきたとき、命令を出したあと「宜しく候」と付け加えたのが、
「ヨーソロー」という語に訛ったという説
A 和船時代から既にあると言われている言葉で、その発端は舵を向けて回頭している中途、
「これにてもはや操舵は宜しゅう候、早速舵を戻して船を直進させ候らえ」から起ったという説
B「目標と船首と拙者(表仕=おもてし。今で言う航海長)の3点がよう揃った!舵を中央に戻してよし!」ということから起こったという説
いずれの案も現在の海上自衛隊の操艦号令には生きている。
海上自衛隊の操舵号令
舵輪 舵角指示器(中央の計器)
面舵(おもかじ)
号令の発声は 「おも〜か〜じ」であり、 艦首が右に回頭するように舵を切ること(右転)
単に「面舵」の場合、海自における舵角は15度、
緊急時の舵を一杯に切る場合は、「面舵一杯」という号令で舵角は30度
(舵角とは艦首尾線と舵の角度)
取舵(とりかじ)
号令の発声は 「と〜りか〜じ」であり、 艦首が左に回頭するように舵を切ること(左転)
単に「取舵」の場合、海自における舵角は15度、
緊急時の舵を一杯に切る場合は、「取舵一杯」という号令で舵角は30度
戻せ(もどせ)
号令の発声は 「もど〜せ」であり、舵を中央(0度:ニュウトラル)に戻すこと
当舵(あてかじ)
船は舵を戻しても慣性運動により舵を取った方向に回頭を続けるため、とった舵と反対方向に舵を切り定針すること。
海自護衛艦の場合は7度、一杯舵の当て舵の場合は15度をとって回頭運動を止めて指示された進路に定針する。
右に「当舵」なら「面舵に当て」、左に「当舵」なら「取舵に当て」と号令する。
航海長(操艦号令を出す人)と操舵員(舵輪を回し舵を取る人)のヨーソローに係るやり取りの例
航海長 操舵員(舵をとる人)
「面舵」 「おも〜か〜じ」 ――→「おも〜か〜じ」と復唱して舵輪(ハンドル)を右に回し右に舵をとる。(舵角15度まで)
←――「面舵15度」 (面舵15度となったことを報告)
(右に回頭中の状態)
定針したい進路の約10度手前で
「戻せ」 「もど〜せ」 ――→ 舵角0度となるまで舵輪を戻す。
←―― 「舵中央」(舵角0度となったことを報告)
右転の回頭惰力を止めるため
「当舵」 「取舵に当て」 ――→ 舵輪を左に回し左に舵をとる。(舵角7度まで)「取舵7度」(舵角7度となったことを報告)
「180度ヨーソロー」 ――→ 針路180度に定針する。
←――「ヨーソロー180度」(180度に定針したことを報告)